今回は、映画「ドクター・スリープ」公開記念として、かれこれ40年近く前の話をします。(^^ゞ
20年ほど前に作ったHPに載せた、私とスティーヴン・キングの出会いに関しての話を書き直したものです。
長文ですが、お付き合いのほど、よろしくお願いします。m(__)m
※文中に「シャイニング」…原作&映画…に関してのネタバレがありますのでご了承下さい。
私がスティーヴン・キングを知ったのは、「キャリー」や「シャイニング」のハードカバー版ではありませんでした。お恥ずかしい事ですが、映画「キャリー」でもありません。
キングが未だに一番…たぶん…嫌っている、そして私も傑作とは認めない映画「シャイニング」で、でした。
映画「キャリー」の頃は、まだ、原作者よりも映画「ファントム・オブ・パラダイス」の監督だったブライアン・デ・パルマが撮った映画!ってことでの認識の方が強く、裕福では無かった私は、ホラー映画は大好きでしたが、どれもこれも…と言うわけには行かず、「キャリー」の存在を知りながらも、劇場へ観には行きませんでした。
でも、「シャイニング」は違ったのです。大好きなSF映画「2001年宇宙の旅」を撮った巨匠スタンリー・キューブリックが監督していたからです。しかも、主演が「カッコーの巣の上で」のジャック・ニコルソン。これは観に行かずにはいられませんでした。
そして、映画「シャイニング」を公開時に観に行ったのですが、映画の方は既にアメリカやイギリスで公開されていて前評判も良く、「とても恐いホラー映画!」…キングのネガティブ発言は皆無でした(⌒-⌒; )…として宣伝されていて、観る前からワクワクドキドキでした。これは、中学1年の時に初めて自分の金で見た映画「オーメン」の頃と同じような興奮でした。
上映が始まり、綺麗な…何か綺麗過ぎて恐いぐらい…映像と、生きてる人間が居るのか?思えるほどの静かなスタートで、背筋が寒くなりました。
冒頭から何かにとり憑かれたようなジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)と、いつも何か脅えているような妻ウェンディ(シェリー・デュバル)、そしてこれから待ち受ける恐怖を知っていた息子ダニー。オーバールックホテルに向かう山中のドライブから緊張感バリバリのスタートでした。
でも、話が進むに連れ、この物語はスーパーナチュラルなホラーなのか?ただの狂った父親による家族崩壊ドラマなのか?解らなくなってきました。
宣伝では、ホテルに巣喰う亡霊どもにとり憑かれたジャックが母子を襲う…とあったのですが、観てて、亡霊にとり憑かれたのか?それとも単にジャックの妄想なのか?どっちにも取れる感じ。唯一、息子のダニーにも亡霊が見えるので、それで辛うじて前者だと解った感じ…(^^ゞ
途中で出て来る双子や、バスタブの美女、そして予告で有名な血のエレベーター、そしてジャックの書いた小説!うん。確かに怖いっ!怖いが…う~ん。(^^ゞ
そして、クライマックス。父親ではなく殺人鬼になったジャックを一人植木の迷路に置き去りにして、助けに駆けつけたけど呆気なく殺されてしまう(⌒-⌒; )ハローランが乗ってきた雪上車で逃げる母子。ラストは、凍死したものの、ホテルの亡霊どもと、過去(異次元)の世界で楽しく過ごしている笑顔のジャック……
う~~~ん、いったいこれは何なんだったんだ?そんな思いでいっぱいの作品でした。
これが、「キャリー」「呪われた町」「シャイニング」とホラー小説でベストセラー作家になったキングの世界なのか?私にはちょっと理解出来ませんでした。
個人的にどっちつかずのエンディングは、とってもモヤモヤしたものだったのです。そして、古本屋で見つけた「シャイニング」のハードカバー本を買って読んだのでした。
新書を買うほど裕福じゃなかった…と言うより、その金があったら映画を観に行ってたんですよね、その頃は。(⌒-⌒; )(爆!!)
読み始めて驚きました。映画で描かれたものとまるっきり違う内容だったからです。確かに、ジャック・トランス一家が冬のホテルに閉じ込められて…と外殻は一見同じようでしたが、まるっきり違っていました。
主人公のジャックがどれほど家族…特に一人息子のダニー…を愛しているかとか、ウェンディが、立ち直ろうとしている愛する旦那や息子のために努力してるとか、ダニーが、そんな両親を心から愛し、亡霊がウヨウヨ居るホテルと解っていても、家族のために逃げないとか……ホテルに着くまででも登場人物の描写がこれでもか!と言うぐらい描かれていて、映画の彼らとは印象が全然違うものでした。
そして、当たり前だけど(⌒-⌒; )決してジャックは最初から狂ってなんかいなかったし、狂う要素があったわけでは無かったのです。彼が亡霊にとり憑かれてしまったのは、酒や仕事、家庭の事を考えるあまり、奴等が入り込む”隙”があっただけ…善人が詐欺師に騙されたようなもの…だったのです。
この点が全然違うため、ジャックへの思い入れも違ったし、クライマックスでのジャック……最後まで狂ったまま息子を殺そうとするジャックと、傷つきながらも必死で父親を正気に戻そうとするダニーに対し、自分を犠牲にしても守ろうとしたジャック……を見る目は、180度違うものだったのです。
そして泣きました。涙を流しながら読んでました!
ハードカバーで上下2巻は、最初はどんだけ時間かかるだろう…と思えました。でも、読み始めたら”すぐ”でした。下巻にいたっては、上巻の半分もかかりませんでした。
そして私は、読みながら心底怖がり、それでいて彼らの結末に感動しました。この小説がベストセラーにならない方がどうかしている!とまで思えました。
それから私は、キングにハマりました。
翻訳されている文庫本を探しては、買って読みました。「クージョ」「キャリー」「呪われた町」「ファイアスターター」「デッド・ゾーン」・・・
と、どれもこれも傑作でした。映画だけでは、きっと気づかなかった事でしょう。小説「シャイニング」を読んだからこそ、キングの素晴らしさを知ったのでした。
こうして、キングのファンになった私は、翻訳本を読み、映画化された作品やビデオ化された作品を見るようになりました。
キングは、ベストセラー作家なだけに映像化された作品が沢山あり、面白い作品もあれば、そうで無い作品…多くがコッチ(⌒-⌒; )…もありました。
それらを観て「キングってこの程度のを書いているのか・・・(-_-;)」と過小評価する人も少なくありません。「あんなに厚いと読むのも大変だし…(-_-;)」と読む前から諦めてしまう人もいます。
でも、それは”読まず嫌い”なだけであって、読めばきっと作品…ひいてはキング…の魅力、映画だけでは見つからない魅力を感じられる事だろうと信じています。
「まだ小説を読んだ事がない」
「映画やドラマで十分でしょ」
…と言う人は是非、小説を読んでみて欲しいです!
ではでは。
【追記】
2019.11.29から公開になった映画「ドクター・スリープ」。原作でなく、映画「シャイニング」の続編です。でも、映画にはそれだけで無い仕掛けがありました!
映画「シャイニング」しか観た事が無く、映画「ドクター・スリープ」が面白かったなら、是非、原作も併せてお読み下さい!(^_^)v
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